電報の番号・略号を使った「慶弔電報」について

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携帯電話やインターネットなど、通信手段が飛躍的に発達した現代においては、お悔やみや結婚式などイベント時の利用がメインになった電報。事実、全国の15~70歳の男女715人を対象としたアンケート調査(総務省調べ)においては、電報を利用したことがある人のうち、80%超がお祝いに利用しており、また約65%がお悔やみで利用していることが分かっています。

では、電報を冠婚葬祭のコミュニケーションに使うようになったのはいつごろなのでしょうか。今回は、慶弔電報の歴史について説明します。

1800年代後半に電報の通信網は国内全域へ

1869年12月に東京から横浜のあいだで、国内初の電報による通信が開始されました。
以後、国内各地への電信線の敷設が急速に進められるようになります。
1875年には、日本国全域に対して電報を発信できるようになったのです。
当時の電報サービスにおいては、今のサービス形態のように、電話で内容を伝えるという形式ではなく、郵便局において「頼信紙」というものにカタカタで電文を書いて、申込みを行っていました。

通信手段としての電報の利用範囲広がる

日露戦争以降、戦争の時代への突入とともに日本国内だけでなく海外への通信の必要性が高まり、通信手段としての電報の利用範囲も広がっていきます。
このころ電報は日常の通信手段として用いられていましたが、1930年に写真電報、1934年に年賀電報、1936年に慶弔電報というように、目的に合わせたサービスが開始されています。
年賀電報は、新年の挨拶を行うための特別な電報で、以下のような例文が決まっていました。
イ - 謹ミテ新年ヲ賀ス
ロ - 謹ミテ新年ノ御祝詞ヲ申上ゲマス
ハ - 明ケマシテ御芽出度ウ御座ヒマス
ニ - 新玉ノ年ノ始ノ御寿芽出度ク御祝ヒ申上ゲマス
ホ - 謹ミテ新年ヲ賀シ御尊家ノ万福ヲ祈ル
ヘ - 謹ミテ新年ヲ賀シ平素ノ御無音ヲ謝ス
ト - 謹ミテ新年ヲ賀シ倍旧ノ御愛顧ヲ願フ

現在の年賀状の電報版ですね。

慶弔電報の略号

この年賀電報の利用範囲を拡大し、冠婚葬祭の節目に応じた形で利用できるようになったのが慶弔電報です。日本国内だけでなく、外地や艦船・航空機へも発着できたので好評を博しました。また、慶弔電報の始まりとともに、電報に台紙がつくようになりました。
慶弔電報には、「いろはにほへと」と1から10で文例が設定されていました。

<祝電用の例文>
イ 御安産ヲ祝ス
ロ 御入学ヲ祝ス
ハ 御入学御目出度ウ
ニ 御合格ヲ祝ス
ホ 御卒業ヲ祝ス
ヘ 御卒業御目出度ウ
ト 御結婚ヲ祝ス
チ 華燭ノ盛典ヲ祝シ御多幸ヲ祈ル
リ 謹ミテ御婚礼ヲ御祝ヒ申シマス
ヌ 御栄転ヲ祝ス
ル 御栄進ヲ祝ス
ヲ 御入選ヲ祝ス
ワ 御入賞ヲ祝ス
カ 御当選ヲ祝ス
ヨ 御優勝ヲ祝ス
タ 御成功ヲ祝ス
レ 御安着ヲ祝ス
ソ 無事御帰朝ヲ祝ス
ツ 還暦ノ御祝典ヲ賀ス
ネ 御盛会ヲ祝ス
ナ 新築落成ヲ祝ス
ラ 御開業ヲ祝す
ム 御開店ヲ祝シ御繁栄ヲ祈ル
ウ 御入営ヲ祝ス
ヰ 光輝アル凱旋ヲ祝ス
ノ 御盛典ヲ祝ス
オ 御目出度ウ
ク 謹ミテ御祝ヒ申シマス
ヤ 晴ノ鹿島立ヲ祝シ一路御平安ヲ祈ル
マ 御出征ヲ祝シ皇国ノタメ御奮闘ヲ祈ル
エ 謹ミテ新年ヲ賀ス
テ 謹ミテ新年ノ御祝詞ヲ申シ上ゲマス
ア 明ケマシテ御目出度ウ御座イマス
サ 新玉ノ年ノ始ノ御寿芽出度ク御祝ヒ申上ゲマス
キ 謹ミテ新年ヲ賀シ御尊家ノ万福ヲ祈ル
ユ 謹ミテ新年ヲ賀シ平素ノ御無音ヲ謝ス
メ 謹ミテ新年ヲ賀シ倍旧ノ御愛顧ヲ願フ
ミ 新年御芽出度ウ御座イマス相変ラズ御引立テヲ願ヒマス
シ 謹ミテ年頭ノ御挨拶ヲ申上ゲ益御繁栄ヲ祈ル
ヱ 謹ミテ新年ヲ賀ス早早賀詞ヲ賜ハリ難有存ジマス
ヒ 洋上ヨリ遙ニ故国ノ新年ヲ賀ス
モ 新年ヲ賀シ御安着ヲ待ツ
セ 謹ミテ新年ヲ賀シ一路御平安ヲ祈ル
ス 新年御芽度ウ御座イマス当方皆無事御安心下サイ
ン 謹ミテ新年ヲ賀ス皇国ノタメ一層御奮闘ヲ祈ル
<弔電用の例文>
一 謹ミテ御逝去ヲ悼ム
二 謹ミテ御悔ミ申ス
三 謹ミテ哀悼ノ意ヲ表ス
四 御逝去ヲ悼ミ御冥福ヲ祈ル
五 御永眠謹ミテ御悔ミ申シマス
六 謹ミテ護国ノ英霊ニ対シ敬弔ノ意ヲ表ス
九 御尊父様ノ御逝去ヲ悼ミ謹ミテ御悔ミ申シマス
十 御母堂様ノ御逝去ヲ悼ミ謹ミテ御悔ミ申シマス

現代にも残る人生のイベント、たとえば結婚や出産、また入学などのタイミングにおける、お祝いの文例には「御入営ヲ祝ス(軍隊に入隊したときのお祝い)」「光輝アル凱旋ヲ祝ス(戦地から凱旋したときのお祝い)」「御出征ヲ祝シ皇国ノタメ御奮闘ヲ祈ル(戦地へ出征するときのお祝い)」といったものがあり、「謹ミテ護国ノ英霊ニ対シ敬弔ノ意ヲ表ス(戦死した方の遺族への弔電)など、時代を反映していることが分かります。

ギフト付き台紙で慶弔電報はさらなる広がりへ

1952年、現在のNTTの前身となる日本電信電話公社が設立。電報業務を取り扱うようになります。
1960年台から電話やファックスが使用されるようになり、1990年以降はインターネットの発達でメールなど様々なコミュニケーションツールが生まれたことで、電報は日常的な情報の伝達手段から、慶弔電報に代表される冠婚葬祭の際のメッセージを伝えるために使用されることが多くなりました。
今ではNTTだけでなく、様々な業者が電報を取り扱えることとなり、フラワー電報やバルーン電報、お悔やみの際のお線香付き電報など、メッセージだけでなくギフトも添えて気持ちを伝える電報が登場し、慶弔電報は広がりを見せています。

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